2018年4月9日月曜日

イタチタケという和名


 実はMycoBankで、Agaricus spadiceusをサーチしていてHokkaidoという文字が目に入った。今井三子先生が1938年に報告したHypholoma stipatumという種がタカネイタチタケのシノニムとされていた。

 現在、Hypholomaはクリタケ属の属名であるが、日本菌類誌を見ると、かつてはHypholomaはヒトヨタケ科に属するイタチタケ亜属だったようだ。
 そして、北海道帝国大学農学部紀要43巻P280を見ると、Hypholoma stipatumの記載があり、そこにJap. nameとして、Itachi-take(KAWAMURA)と出ていた。

 川村図鑑にすでに使われていた和名を、今井三子先生はなぜHypholoma stipatumに当てたのだろうか、と首を傾げた。

 川村図鑑を見ると、川村博士は、Hypholoma appendiculatumにイタチタケという和名を当ている。
そして、 Hypholoma candolleanumにイタチタケモドキ、
(現在イタチタケの学名は、Psathyrella candolleana (Fr.) Maire

どういうことだろう・・・

下は川村図鑑のイタチタケ




憶測ではあるけれど
川村博士の記述と図から、「川村の言わんとしている種は H.appendiculatumじゃなく、これだよ」と報告(今井)したのが、H. stipatumだったのではないだろうか。その後、「いやいや、H. stipatumも別物で、川村が言わんとしていたのは、イタチタケモドキH. candolleanumのことだったんだよ」、そんなこんなで川村博士の言わんとするイタチタケにH. candolleanumという学名が当てられた…。そう考えると何となく辻褄が合っている気がする。
  普通、H.appendiculatumという種にイタチタケという和名が最初に当てたなら、H. candolleanumはイタチタケモドキとされるところ、川村博士がイタチタケとした種の学名の掛け違えの訂正があった…(のではないだろうか)。

 では、川村博士が最初にイタチタケとした種の学名は、どんな種なのだろう。
H. appendiculatumは、現在、Psathyrella piluliformis (Bull.) P.D. Ortonとなっている。

これは、実はムササビタケ。
そして、H. stipatumの現在の学名はPsathyrella spadicea (Schaeff.) Sing.。
タカネイタチタケだった。
 Agaricus spadiceusをサーチしていて、
平凡なイタチタケにも、ムササビタケの学名が当てられたり、タカネイタチタケの学名が当てられたり、ちょっとした過去の物語があったのかな?と思った。
 

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